• 「インテリアは自分を映す鏡」”好き”と暮らす部屋づくり(後編)

    • 2025.10.05

    – 日々をつくる、福井の工芸
    インテリアスタイリスト・山形奈都子さん編 –

     

    インテリアスタイリスト・山形奈都子さんに、福井の伝統工芸にまつわるプロダクトを生活に取り入れていただく実験的企画。

    今回の後編では、今回取り扱っていただいた、漆の敷板「NIVI PLATE」と、お椀のようなフォルムの花器「keshiki 花の椀」を実際にお部屋に取り入れるアイデアを伺っていきます。

    ▼前編をまだ読んでいない方はこちら


    ■インテリアのお悩みとはじめの一歩

    山形さんに、今回使っていただいたアイテムの具体的な活用アイデアを、お悩み別に教えてもらいました。

    【お悩み①】小物を飾りたいけど、ごちゃついて見える

    小物一つ一つは可愛いのに、まとまりがなくごちゃついて見えることがあります。それぞれの良さを生かせず、どうにか一体感を出したり、メリハリを出したいと思っているのですが……

    山形さんのNIVI PLATEの活用アイデア

    「飾ることが苦手な方ほど、プレートを一枚取り入れてみてほしいですね。」

    NIVI PLATE(錆赤)

    NIVI PLATE 角・小(錆赤)

    「プレートという『ステージ』があるだけで、そこは特別な場所になる。無造作に置いた鍵やアクセサリーでさえ、洗練された空気感をまとえますよ」

    「トレーとしてだけじゃなくて、こう立てかけて使ってみたりとか……チャレンジするんだったら壁にかけてみるとか……」

    使用アイテム:PLATE:長角/大(荒紺)、長角/中(鼠空)、角/中(深緑)、角/小(紅錆)

    奥から NIVI PLATE:長角/大(荒紺)、角/中(深緑)、長角/中(鼠空)、角/小(紅錆)

    小物にステージを与えてあげる。そこがまるで昔からの定位置だったかのうように、小物たちが輝きます。


    【お悩み②】お花を飾りたいけど、様にならない

    お花を飾ろうとフラワーベースを買ってみたものの、想像よりもお花をたくさん入れないと寂しくなってしまったり、常にお花を飾っていないといけないとプレッシャーになることがあります。

    山形さんのkeshiki 花の椀活用アイデア

    「keshikiの花の椀は、口がすぼまっているので、少ない本数のお花でも様になりますし、パーツが分かれるのでお手入れも簡単。」

     

    「お花初心者の方にこそ向いているアイテムなんじゃないかなと思います。お花がない日も、オブジェとして空間を彩ってくれますね!」

     

    keshiki 花の椀(朱漆)の棚に置いてある写真

    使用アイテム:keshiki 花の椀(朱漆)

    「高さのある他の花器と、重ねて置いた時にすごくいいコントラストをつけてくれるので、他のアイテムとの組み合わせを楽しむのもおすすめです。」

    ■ 賃貸でも今日からできる、心地よい暮らしの実験

    「自分も賃貸だからこそわかりますが、制約が多い中でも今の物件でどうやったら楽しめるか。実験する感覚でチャレンジしていくのが良いのではないでしょうか」と山形さんは語ります。

    インテリアスタイリング初心者でも実践できる方法を示す山形さん

    ただ「いきなり大きな家具を変えるのは難しい…」 そんな方に向けて、今日からすぐに試せる、暮らしを変える小さなヒントを教えてもらいました。


    アイデア①:「妄想」してみる

    まずは何も買わなくても大丈夫。「この壁にアートを飾るなら?」「どんな照明を置こうかな?」と想像を膨らませるだけでも、立派な第一歩。

    アイデア②:マスキングテープで「一枚」貼ってみる

    部屋に入った時に、対角線上で自然と視線が向かう壁。そこがお部屋の「フォーカルポイント」です。

    山形さんが手がけられるフリマプロジェクト「YAND(ヤンド)」のショップカード

    使用アイテム:NIVI PLATE 長角・中(鼠空)

    「フォーカルポイントに照明やお気に入りのアートなどを飾ってみるのもおすすめですが、まずはマスキングテープでフリーペーパーを貼り付けるところからで構わないです。

    どんな風に視線がお部屋の中で動いていくかというのを試してもらえるといいと思いますよ!」

    アイデア③:小さな「あかり」を灯してみる

     

    部屋の印象を大きく変える照明も、まずは小さなものから。

    「キャンドルとか、ポータブルの小さなランプから取り入れてもらっても全然いいんです」。

    小さく、まず始めてみて、少しずつ手を動かしてみること。そうすることで「なんかいいかも」が見えてきそうです。

    アイデア④:部屋の中で占める割合の大きなものはベーシックな色で

     

    「空間の中で大きな割合を占める家具(ダイニングテーブル、ソファ、床の色など)や布(カーテンなど)は、できるだけベーシックな色を選ぶようにしていて、全体的には、黒、グレー、白、ベージュなどのアースカラーや無彩色でまとめることを意識しています。」

     

     

    「そうすることで、後から加えるアイテムや既存のアイテムとの間に色のメリハリや素材感のメリハリが生まれ、インテリア性がぐっと高まります。」

     

    山形さんの偏愛が見えるコーナーの写真

    山形さんの偏愛が見えるコーナー

    ベースを整えることで、それぞれの個性が生きてくる。お部屋作りはまるで、空間とアイテムのチーム作りのようです。

    ■ あなたの「好き」が、あなたの世界を平和にする

    ここまで山形さんのインテリアへの向き合い方や哲学、実際にアイテムを取り入れる方法について触れてきました。

    山形さんは、改めてこう語ります。

    「インテリアって本当に自分の心の中を映し出す鏡だと思っていて。ただ、多くの人が『自分にはできない』と思い込み、楽しめていません。

    私は、人それぞれに合った楽しみ方を見つけるお手伝いがしたいなと思っています。」

     

    「過去のスタイリング相談のお客様の中で、リノベーションした素敵なお部屋なのに、『なんとなく使いこなせていない』と、大きなソファを持て余していた方がいらっしゃいました。

    そこで私は、『まずはお部屋の中で一番好きなものを、自分なりに飾ることから始めませんか?』と、ご提案したんです」

    そして、そのお客様が選んだのは、一つのフラワーベース。キッチンの棚にそれ一つを置いたことがきっかけで、彼女は「飾ること」の楽しさに目覚めていきます。

     

    「今ではご自身でどんどん模様替えをされて、『このソファで良かった、捨てなくて良かった』と言っていただけました。ご主人との会話も増えたそうで、本当にうれしかったですね。

    まずは『好き』なものを一つ見つけること。それがすごく大きいんだと思います。」

     

     

    「何か正解のようなものを探して、自分の”好き”という純粋な気持ちが見えにくくなっていたかもしれない」とハッとさせられる山形さんの言葉たち。

    まずは、心から好きだと思えるものを一つ、小さなプレートの上に載せてみる。その小さな一歩から、心地よい毎日が始まるのかもしれません。

     


    ■F-TRADについて

    今回、山形さんのスタイリングで使用されたアイテム、「NIVI PLATE」と「keshiki 花の椀」。

    これらは、福井県が誇る伝統工芸を今の私たちの暮らしに合わせてアップデートしていくプロジェクト「F-TRAD(エフトラッド)」から生まれたプロダクトです。

    越前漆器、越前和紙、若狭めのう細工、若狭塗、越前打刃物、越前焼、越前箪笥など、福井の産地に根付く職人の技術と現代のデザインが出会い、日々の暮らしに寄り添う新たな道具が作られています。

    F-TRAD 公式サイト

    SAVA!STORE実店舗では、10/10(金)〜10/19(日)までF-TRADのPOPUPを開催中です。


     

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