UPDATE KOGEI_和紙
- 2019.07.31
福井県鯖江市河和田地区。1500年の歴史をもつ越前漆器産地のど真ん中に、SAVA!STOREは位置しています。鯖江市や越前市を含む福井県中央部は丹南(たんなん)地域と呼ばれ、半径10キロ圏内に越前漆器、越前和紙、越前打刃物など数々の伝統工芸産地が集積する全国的にも珍しいエリアでもあります。
今回の特集「UPDATE KOGEI」は、そんなものづくり産地の中で脈々と受け継がれてきた伝統工芸の技術を、現代の生活や社会の文脈を踏まえながら新たな価値をもつプロダクトとしてアップデートされた商品たちをご紹介。
第1回は、「越前和紙」のプロダクトをご紹介いたします。 福井県越前市五箇地区。和紙発祥の地とも呼ばれるこの場所に受け継がれる「越前和紙」は、1500年の歴史をもつと言われています。日本で唯一紙の神様「川上御前」を祀る「岡太神社(おかもとじんじゃ)」が見守るのは、岡本川沿いに広がる和紙漉き工房のまち並み。しっとりとした空気に包まれたまち全体の落ち着いた雰囲気が、和紙産業と共に過ごしてきた時間を感じさせてくれます。
そんな歴史ある越前和紙の製品の中から、和紙の新たな可能性に迫った商品を2点ご紹介します。
【series_和紙箱(山次製紙所)】山次製紙所のオリジナルブランドである「series」の和紙箱は、山次製紙所独自の「浮き紙」という技法により、鋭角な凹凸による模様の表現が可能となった越前和紙の小箱。 身の部分は日本三大美林のひとつ、天然の秋田杉でできており、優しい手触りと豊かな香りが特徴です。茶缶とセットでお茶を入れたり、小物入れ等にご活用いただけます。
山次製紙所は、明治元年創業、美術小間紙の製紙所。山次製紙所の跡取りである山下寛也さんは、紙漉き工場の減少や、和紙の需要の減少といった現状をふまえ、「漉いた紙をどのようにして魅せるか、またどのように発信していけば和紙を身近に感じてもらえるか。」と考えを巡らせます。そして、頭を悩みに悩ませて出来上がったのが「series」です。
「日本の生活に馴染んでいた和紙が洋紙に置き換わる中で、洋紙だけでなく和紙にも⦅多様な用途⦆を持たせ、和紙の可能性を模索していきたい。」そんな気持ちが和紙箱には込められています。
独自の技法により、和紙の凹凸そのものを模様として表現可能とした山次製紙所。地道に培ってきた技術は、小間紙としての和紙の可能性を大きく切り拓きました。
「series」の和紙箱を通して、その感動までもがどうか皆さんの元へ届きますように。
【和紙の箱harukami [moln/cobble](やなせ和紙)】一枚一枚丁寧に漉き上げられた和紙を、手で包み込むように木型に貼付けて作られた和紙の箱、harukami。
[moln]とは、スウェーデン語で「雲」、[cobble]は「石」という意味。空に浮かぶフワフワの雲のような自然なフォルムのmolnと、河原にころがっている小石のような、自然でやわらかな丸みを持った形のcobble。一つ一つ表情の異なるシワやフチが生み出す、暖かみのある柔らかいカタチ。手漉き和紙ならではの丈夫さとやさしい風合いが、日々の生活にゆとりと落ち着きを与えてくれます。
これまでは襖(ふすま)紙をメインの商品として製造してきたやなせ和紙。しかし、住宅の洋式化など、昨今の和紙需要低下を背景に、新商品の開発に取り掛かります。工芸品の産地とデザイナーをマッチングし、現代のライフスタイルに合った新しい伝統的工芸品を生み出す「NEW DENSAN PROJECT」をきっかけに出会ったデザイナー松山祥樹さんとともに、harukamiを生み出しました。
「できるだけ身近に置いてもらえるような物を作り、生活の中に少しでも取り入れてもらって、手漉き和紙の優しい風合いを肌で感じてもらえたらなと。」
紙の風合いを生かしながら、重そうで軽い、和紙の箱として完成をみたharukami。生活の中にそっと溶け込む和紙づくりへの静かな情熱を、ぜひ感じてください。